普通のシェアハウスに住むより10倍くらい得があります。

参加者の声

トキワ荘プロジェクト入居者のインタビュー第5弾。

今回は月刊少年エースにて「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」を連載中の、トキワ荘プロジェクト卒業生・足立いまる︎さんにインタビューしました。

連載が決まってからトキワ荘プロジェクトに参加した足立さん。

参加を決めた理由、そして女性ならでは過ごし方や思い出を語っていただきました。

足立いまる︎︎︎︎︎︎さん
トキワ荘PJ卒業生(入居当時26歳)
『月刊少年エース』にて「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」を連載中
単行本「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」
1巻~2巻発売中/KADOKAWA

きっかけは、SNSで目にしたマンガ講座の案内

── 足立さんがトキワ荘プロジェクトを知ったきっかけは何でしたか?

SNSで、ネーム講座の案内を見かけたことです。

当時、さまざまな編集部に持ち込みをした際に、絵は評価されても、なかなかマンガとして評価されなかったので、マンガの基礎力を高めたいと思っていました。

そんなときに、ネーム講座を見かけて…調べてみると、会場が東京だったんです。
講座のホームページをよく見てみると、住居の提供もしていると知りました。
オタクだったので、中学生くらいから東京への憧れがあり、いつかは上京したいと思ってたので気になってました。

私は、東京にいる人のほうが、出版社へ持ち込みしやすいから、それだけ漫画家として活躍するチャンスが多いと思っていました。
地元から行ける出張編集部もあるけれど、そこに来る編集者の方は1日に300人くらいの漫画家さんを見ているから、どうしても印象に残らない気がしていて。
そのうえ、行くとしても隣の県まで行かないといけなかったんです。

それならいっそ、東京に引っ越したほうが早いかなと。

これまで実家暮らしだったのですが、シェアハウスであれば上京するときも心強いですし、女性専用という点は親の説得もしやすいので良いなと考え、入居を決意しました。

漫画ネーム講座(MANZEMI)

トキワ荘プロジェクトでは、成長支援の一環としてMANZEMIというマンガ講座を運営しています。ネームが進まず悩んでいる方、物語づくりを一から勉強したい方におすすめです。開催時期はTwitterでも発信中!

漫画ネーム講座(MANZEMI)

トキワ荘プロジェクトでは、成長支援の一環としてMANZEMIというマンガ講座を運営しています。ネームが進まず悩んでいる方、物語づくりを一から勉強したい方におすすめです。開催時期はTwitterでも発信中!

東京で、気軽に遊びに行ける友達ができた

── 実際にトキワ荘プロジェクトに参加してどうでしたか?

知らない人と住むことが初めてだったので、意地悪な人がいたらどうしようと不安でした。でも実際はそういう人もいなくて、みんな優しかったです。
当時住んでいた人とは、個別で出掛けたこともあります。それくらい、仲良くなりました。
トキワ荘プロジェクトを出てからも、連絡をとりあっています。

シェアハウスって「知ってから仲良くなる」という普通の順番とは逆で、「まず仲良くならなければいけない」という環境だと思うんです。

── そういう環境だと、積極的に遊びに誘いますね。

そうなんです。だからこそ入居者とは、気軽に遊びに誘えるまでの関係性になりました。

── いい出会いがあるのも、シェアハウスならではですよね。入居者同士でどこに遊びに行ったんですか?

例えば、映画を観るためにわざわざお台場まで足を伸ばしたりしました(笑)

レインボーブリッジが見える砂場みたいなところがあるじゃないですか。
言葉のままの「都会」が見渡せるんですよ。それがすごく好きで。

▲「都会」の風景(撮影:足立さん)

帰りに、一緒に行った子が「今日は本当に楽しかった」と言ってくれました。
私はそういう気持ちをはっきり伝えるのが苦手なので、なおさら嬉しかったですね。

── そんな思い出があったとは……!入居者同士、距離が近いんですね。以前、入居者にアシスタントをお願いしたこともあったと、お聞きしました。

はい。アシスタントは、今まで大学の友人にお願いしていたんです。
指示をしたり、間違いがあったら注意したりする立場なので、言いやすさから友達に、と思っていました。

でも予期せず、原稿がピンチになったときがありました。慌てて、隣の部屋のドアをたたいて、「助けて~~!」って(笑)

彼女たちには、コンビニの背景作画を手伝ってもらったのですが、陳列棚に置くサンドイッチ描いてと言うだけで、きれいなサンドイッチができていたり、立派なおにぎりを描いてもらったり、本当に助かりました。

入居者のみんなが教えてくれたこと

── 同居人に影響を受けたことって、何かありましたか?

入居者にアシスタントをお願いしたとき、背景が上手だったので、簡単なパースの取り方を教えてもらいました。
実は私、パースが書けなくて……。

ほかにも、ハウスに住む人が奇跡的にみんな違うジャンルの漫画を描いていたので、未知のジャンルについて、知るきっかけになりました。
少年漫画の基礎しか知らなかったので、とても有難かったです。

作品を見せ合ったりもしてました。粗いネームから、完成した原稿まで 幅広く(笑)

あとは、原稿を完成させるまでの段取りが人によって違うとわかったので、いいところを聞いては取り入れてました。

私はプロットを書いて、ネームを描いて、それからペン入れという、一つひとつ順番にやっていくタイプなのですが、入居者の中にはミニネーム(全画面に収まるくらいで小さくネーム)を描いて、話の盛り上がりを俯瞰でみるって方もいて。新しい発見でしたね

描く楽しさの再確認

── 新しいメンバーが入ったときに、歓迎会などしてましたか?

人の入れ替わりがあると、みんなで歓迎会だったり、お別れ会だったりをしてました

そこでみんなで普通に話してるんですけど、会が終わる1時間前くらいから、「このあと仕事ある……」とか「原稿書きたくないいい」って言い合うんです。(笑)

私も含めてみんな、義務感のある漫画を描いていると、どうしても楽しくないと思う瞬間があって。だから1枚の紙を囲んで、各々の推しキャラを描くってことをやったんです。そのときにはみんな、久しぶりに心から絵を描くことを楽しめたと言っていて。

いい思い出です。(笑)

芸術系の短期大学を卒業してから、どうしても、友達とわいわい楽しく絵を描くことはなかったんですが、トキワ荘プロジェクトではそれが簡単に実現する環境だったなと思います。

それから入居者みんな、漫画に対する意識が高くって。去年から今年にかけて連載とか雑誌に載るってことが多かったじゃないですか。

── 確かに。多かったです。

そういう結果が出るたびに、みんなでおめでとうって言い合ってました。ケーキ買ってきたりしましたよ(笑)

── 楽しそうです。(笑) 入居者同士、いい関係性を築いてくださって嬉しいです。

── では足立さんの今後の目標は?

今の連載は原作のコミカライズなので、今後はオリジナル作品の連載をやりたいです。

トキワ荘プロジェクトに参加した頃から、ずっと担当さんにオリジナルの作品をやらせてほしいと言っていて。でもありがたいことに、「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」の単行本の1巻が思いのほか売れまして(笑)

なので今は、描く時間が少ないですが、自分で考えたストーリーで、漫画を描きたいですね。
もともとアニメが好きで監督にも憧れていたくらいなので、自分の作品をアニメ化するのも目標の一つです。

── 足立さんのオリジナル作品が読める日を、心待ちにしています!

── 最後に、トキワ荘プロジェクトへの参加を検討している方に向けてメッセージをお願いします。

普通のシェアハウスに住むより得が、10倍くらいあります。

いきなり上京してきても一人の生活ではないのはもちろん、住んでいるのがみんな漫画家ですし、生活費も削減できます。トキワ荘プロジェクトが主催するイベントで、編集者の方とのつながりが生まれることもあったりして。

今はまだマンガに自信がない方も、一緒に住んでいる人が頑張っているのを観て、自分のモチベーションにできるんじゃないかなと思います。

また住んでいる人たちは、漫画家としてのステージは様々で、みんなが努力しています。
連載が決まってからの入居でも、歓迎してくれました。

一人で上京してくるより利点がいっぱいでした。
半年住んだ私が保証します……!

── ありがとうございました!

2020年3月2日

足立いまる︎︎︎︎︎︎さん
単行本「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」1巻~2巻 大好評発売中
最新話は『月刊少年エース』(毎月26日発売) にてお読みいただけます

イラストやマンガの仕事依頼を、受け付けております。
詳しくは公式サイトまで⇒https://a-imaru.amebaownd.com/